貴船で川床ランチを楽しんだあと、せっかくなら京都らしい夏をもう少し味わってもらおうと、夜に選んだのは上七軒のビアガーデンでした。
前回の貴船の川床ランチの記事はこちら☟

貴船の川床での、木陰の涼しさと川の音に癒された昼下がりの余韻をそのままに、向かったのは京都で最も古い花街、上七軒(かみしちけん)。
石畳の道を歩いていくと、夕暮れの空気がふわりと変わり、静かに華やぐ景色が広がります。
この町で、夏の夜だけに開かれる“ビアガーデン”は、ちょっと特別な時間を味わえる場所。
芸妓さん舞妓さんが席を回り、おもてなししてくれるひとときは、大人の旅にぴったりです。
※この記事は、2022・2023・2024年に訪れたときの体験をベースに書いています。2025年上七軒ビアガーデンの情報を加筆してお届けしています。
上七軒へ――京都で最も古い花街
観光地としても有名な北野天満宮のすぐそばにある上七軒は、芸舞妓さんが暮らす花街。静けさと品が漂うこの一帯は、地元の人や旅の人にも愛される場所です。
上七軒とは?落ち着いた佇まいの「もうひとつの花街」
祇園と並ぶ京都五花街のひとつでありながら、上七軒はどこか控えめで落ち着いた雰囲気が漂います。
石畳の小路に町家が並び、夕暮れ時になると舞妓さんがふわりと通りすぎる――そんな京都らしい光景に、思わず足を止めてしまいます。
石畳の上七軒通りから少し入ったところに「上七軒歌舞練場」はあります。
歌舞練場では芸舞妓さんが普段、舞や唄のお稽古をしたり、春や秋の時期には舞台で公演が行われます。
上七軒では春には「北野をどり」、秋には「寿会」と日々のお稽古の積み重ねを、舞台で披露されます。
そんなこの建物が、夏季限定で「上七軒ビアガーデン」として開放されるのです。

上七軒ビアガーデンで過ごす、特別な夕暮れ時間
「上七軒ビアガーデン」は、他のビアガーデンとは一線を画す特別な空間。
上七軒の歌舞練場へ入ってすぐに目に入るのは池にかかる橋、そしてその奥に広がる庭。池に泳ぐ鯉が涼しげで、とても雰囲気が良い歌舞練場です。
中庭と欄干にお席が用意されていて、両親と訪れた際は欄干の席でした。
何度か「上七軒ビアガーデン」へは訪れたことがあるのですが、中庭の席はまだ利用したことがありません。しかし、私はお庭が眺められる雰囲気の良い、欄干の席が気に入っています。
暑くて耐えられない!と言う方は、冷房の聞いた室内のテーブルもあります。お席は選べないそうですが、室内はいつも空いている印象です。(雰囲気を味わうなら断然、お庭か欄干のお席ですが)


テーブルに着いて、まずは飲み物を注文します。
最初のセット(2,500円・税込)は、生ビールと酒菜の組み合わせ。酒菜は冷奴と枝豆。生ビールの代わりに、他のドリンクも選べます。
最初のセット以降は、アラカルトメニューからお料理や飲み物を追加注文するスタイルです。

そんなことで、雰囲気とビールを味わっていると、その日お当番の芸妓さん舞妓さんが、順番にテーブルを回ってご挨拶に来てくれます。
皆さん揃いの浴衣を身に纏い、日本の涼を感じます。
私の両親も普段、芸妓さん舞妓さんとお話しする機会などもちろんないので、とても楽しくお話させてもらい、千社札もいただきました。
芸妓さん舞妓さんは、お話も上手で、本当におもてなしが素敵ですね。
個人使用の範囲においてお写真を撮ることや、一緒に撮ってもらうこともできますよ。
ちなみに保護者同伴であっても、未成年者の入場はできないので、京都の夏を楽しむ大人の旅向けです。
公式ホームページからweb予約もでき、気軽に訪れ楽しむことができます。
上七軒ビアガーデン
〒602-8381 京都市上京区今出川通七本松西入真盛町742
Tel.075-461-0148(月〜金:10:00~17:00)
(期間中/月〜金:10:00~21:00 ※営業日の土日祝17:00~)
【営業期間】
令和7年7月1日(火)〜9月6日(土)
定休日/8月10・17を除く日曜日、8月13〜16日
【営業時間】
7:30〜22:00 2時間制(ラストオーダー30分前)
17:30/18:00/18:30/20:00/20:30 から入店時間を選べます
【料金】
最初のセット(生ビールと酒菜)2,500円(税込)/名
※以降アラカルトメニューから追加注文可能
※雨天営業。但し、台風などの影響により営業中止になる場合あり。
支払い方法:現金・クレジットカード
上七軒公式HPはこちら
上七軒ビアガーデンの魅力
陽が沈むにつれて、花街の灯りがぽつぽつとともりはじめます。
舞妓さんが通る足音、器に注がれる飲み物の音、虫の声――
そんな静かな音たちに耳を澄ませながら過ごす時間は、喧騒から離れた“もうひとつの京都”を感じさせてくれます。
上七軒ビアガーデンは誰でも入りやすく、落ち着いた空気感なので、旅の締めくくりにぴったり。
旅の方だけでなく、京都や関西の方も、たまにはお子さんを預けて過ごす、こうした「大人だけの京都の夏時間」を楽しんでみるのもおすすめです。


まとめ|“暮らすように旅する”人にこそ届けたい、京都の夏のもうひとつの楽しみ方
京都の夏といえば、貴船の川床や祇園の風情を思い浮かべる方も多いかもしれません。
けれど、その少し先にある“小さな特別”を味わいたい人にこそ、上七軒のビアガーデンはぴったりの場所です。
格式ばらず、それでいて、どこか背筋が伸びるような、京都らしい、おもてなしの空間。
【涼を感じる昼と、粋(すい)を味わう夜】
2025年の今年も、貴船の川床はすでに営業を始めています。上七軒のビアガーデンも、もうすぐ夏の灯りをともす頃。
一日を通して、夏にしか出会えない“京都らしさ”を五感でめぐる旅。
それは、ただ涼を求めるものではなく、小さな季節の贈りものを見つけにいくこと。そんな旅が、丁寧な暮らしにつながる——そう感じませんか。