京都の夏は蒸し暑い。でも、そんな暑さの中だからこそ出会える、とっておきの過ごし方があります。
【川床】京都の夏の風物詩で、ご存知の方も多いのではないのでしょうか?
今回の記事は、“涼をいただく”という言葉がぴったりな場所、貴船の川床のお話です。
夏の京都旅行の参考になれば嬉しいです。ぜひ最後まで読んでくださいね。
五感で味わう、京都の夏時間
京都の夏は蒸し暑く、どちらかと言うとおすすめのシーズンではないのですが、その暑がかえって愛おしく思えるような「涼のご褒美」が、山あいの奥座敷・貴船にあります。
私が初めて貴船の川床を訪れたのは10年以上前のことだったと思います。
両親と弟と、夏の京都旅行。川床料理をご馳走しようと、貴船の料理旅館〈ひろ文〉を訪れました。
川の上にせり出した床に腰を下ろし、目の前に流れる清流、耳に届くせせらぎ、そして涼やかな空気。そこには、日常ではなかなか味わえない、「心まで涼しくなる」時間が待っていました。
それから長いこと訪れることはなかったのですが、私が京都で暮らすようになり、ここ数年は7月に両親と貴船の川床へ訪れることが夏の恒例行事となっています。
※この記事は、2023・2024年に訪れたときの体験をベースに書いています。2025年6月現在の情報を加筆してお届けしています。

貴船ってどんなところ?|アクセスと行く時に気をつけること
貴船(きぶね)は、京都市左京区の山間にある小さなエリア。京都市内中心部からは、叡山電車を使って1時間半ほど。出町柳駅から電車に揺られ、終点のひとつ手前「貴船口駅」に降り立つと、空気がすっと涼やかになります。
貴船口駅からはバスまたは徒歩で、貴船川沿いを上流へと進みます。川に沿って建ち並ぶ料理旅館や、木漏れ日に包まれた貴船神社の鳥居――京都の街中とはまた別世界です。
車でも行けますが、京都駅からですと通常でも1時間弱ほどかかりますし、川床の季節は大変混み合い、貴船の山道は狭く、すれ違いも大変で、貴船口駅周辺からお店までの道のりに大変時間がかかります。
特に混み合う期間は、食事予約をされている方もマイカー規制がありますのでお気をつけください。
下記日程にて、貴船神社周辺の通行規制が行われます。
誠に恐れ入りますが、期間中は許可証をお持ちでないお車での通行ができかねますため、
ご宿泊およびお食事をご利用のお客様は、電車でのご来館をお願い申し上げます。規制期間:8月10日~8月31日の土日祝、8月14日~15日
https://hirobun.co.jp/category/news/
規制区間:梅宮駐車場⇔貴船神社奥宮
規制時間:10時~16時
また、2024年は食事予約済みでない方は、交通規制があり通行できませんでした。2025年も交通規制があるかもしれないので、事前に調べてからが安心です。
令和6年 貴船の周辺道路の乗用車交通規制のお知らせ
規制期間
・7月1日(月)~8月31日(土) 土・日・祝 規制実施(午前10時~午後4時)
・8月14日(水)~16日(金) 全日規制実施(午前10時~午後4時)
・8月17日(土)~18日(日) 両日規制実施(午前11時~午後2時)規制区間
叡山電車「貴船口」駅 ⇔ 貴船神社奥宮規制対象
https://kifunejinja.jp/news/1240/
乗用車(軽自動車・貨物・トラックを含む)
※タクシーは除く
※規制実施中は貴船の店舗で食事予約済みのお客様の車両以外は通行できません。
食事予約済みのお客様は、ご利用店舗の駐車場にお停めください。
そんな事情もあり、貴船の川床を訪れる際は、事前予約と公共交通機関でのアクセスがおすすめです。


鞍馬口駅からは、川床を予約しているのであれば、お店の送迎バスを利用するのがおすすめです。
お店によって送迎の有無など違いますので、お店のホームページなどで確認してみてください。
「ひろ文」で味わう、川床ランチ
私がいつも訪れるのは、貴船川の上流にある料理旅館〈ひろ文〉さん。貴船神社から5分ほどの場所にあり、川にせり出した清々しい川床が魅力です。
料理旅館ですが、お食事だけでも気軽に行くことができます。
私はいつも7月下旬の平日、事前に公式サイトから予約して訪れています。
ひろ文は送迎バスもあるので、予約の際に送迎も一緒にお願いしています。
時間の指定はありますが、食事の時間や電車の時間に合わせて設定されているので便利です。
貴船口駅の改札を出て、階段を降りて外へでると、〈ひろ文〉のうちわを持ったお店の方がいて、車まで案内してくれます。
車だと通常5分ほどの距離が30〜40分くらいかかります。
私はいつも13時からの予約なので、ちょうど、前のお食事の方との入れ替わりもあり、混んでいるのかなと思いました。
11時頃のお食事予約ですともう少しスムーズなのかもしれませんね。
〈ひろ文〉は上流の方なので、車窓からはたくさん料理屋さんやカフェの川床が見えて、貴船の雰囲気を感じることができます。
そして、車とのすれ違いにちょっとドキドキしながら、ようやくお店に辿り着きます。
席に案内され、足元に感じる冷たい川の気配と、頭上に広がる木々の緑。その中でいただく季節のお料理は、まさに五感で味わう夏のごちそう。
街中の床とは全く違う、清涼感です。お料理への期待も高まります。
ひろ文
〒601-1112 京都市左京区鞍馬貴船町87
Tel.075-741-2147 Fax.075-741-1208
営業期間:(川床)例年5月1日~9月末
営業時間:昼 11:00〜15:00(最終入店13:30)
夜 16:30〜21:00(最終入店18:00)
※雨天または貴船川増水時、気象警報発令中は川床の営業中止。
※当日10:00時点で雨天の場合営業中止。
※川床が営業中止となった場合は屋内お食事処へのご案内。
支払い方法:現金・クレジットカード(JCB/VISA)(川床会席と鍋料理のみクレジットカード利用可能)

お料理はこんな感じでした
初めて料理旅館〈ひろ文〉で、両親にご馳走したときにいただいたのは、鱧しゃぶ懐石でした。
父が鱧しゃぶを大変気に入って、それ以降いただくのは「鱧しゃぶ懐石」。
夏の京料理には欠かせない鱧。鱧落とし・鱧炙りの食べ比べや鱧しゃぶに〆は鱧出汁のきいたお雑炊と、滋味豊かな鱧三昧の贅沢コースです。
決してお手頃ではないお値段ですが、“夏の涼の楽しみ”と贅沢することにしています。
そんな「鱧しゃぶ懐石」の内容は…
鱧しゃぶ懐石 18,150 円(税サ込)※要事前予約
【先 附】【八 寸】【お造り】【焼 物】【鱧しゃぶ】【ご 飯】【香 物】【水 物】
以前の内容ですが、お料理の雰囲気はこんな感じ。






目にも涼やかですよね。
器使い方、旬の食材、そして川の音。夏の暑さを忘れるゆったりした贅沢な時間です。
ちなみにこのような懐石料理以外にも、料理旅館〈ひろ文〉では、5月~9月末は流しそうめんが愉しめることでも知られています。
こちらはお手頃なお値段で、川床と流しそうめんの楽しさが味わえて、若いカップルやお子様連れにも人気です。予約は不要ですが、平均2〜3時間待ち出そうなので早めに行くのが良さそうです。
営業期間 / 時間例年5月1日~9月末 / 受付時間 11:00~12:00
https://hirobun.co.jp/cuisine/#somen
※雨天または貴船川増水時、気象警報発令中は川床の営業を中止します。
※当日10:00時点で雨天の場合も中止します。
※お並びいただいている途中で雨が降ってきた場合も中止します。その場合、料金を返金いたします。
料金・お支払い方法
現金 2,000 円(税込)ご来店時に受付し、代金引換で番号札をお渡しいたします。
流しそうめんのお支払いは現金のみです。
夏の京都・貴船をおすすめしたい理由
涼しさは、本物です|気温が違う貴船の魅力
京都市内が35℃を超える日でも、貴船川床の下を流れる清流の冷気が、天然のクーラーのように吹き上げてきて、本当に「涼しい」と感じます。
私が寒がりなこともあるかもしれませんが、ずっと川床に座っているとけっこう冷えるので、必ず羽織を持っていきます。
また川床から流れる川の水に足を浸して、涼を感じることも。
夏の京都は蒸し暑いからこそ、天然の涼しさは本当に贅沢です。
自然の中でリラックス|ゆらぎ気分
流れる水の音、山の香り、夏の光、冷んやりした空気、そして美味しいお料理。夏の京都、川床では五感を満たすことができます。
忙しい日々からひととき離れ、自然に包まれる癒し。それだけで、心の温度がぐっと下がるような、心と身体がリセットされる気がします。
ひとりでも、家族や友人との旅行でも|ワンちゃん連れも楽しめる
お料理屋さんやカフェはたくさんあり、ひとりで楽しめるお店も。
ひとりでも、家族や友人との旅行でも、それぞれの雰囲気や楽しみ方にあったお店が見つかるはずです。
ワンちゃんOKのカフェもあるので、ワンちゃん連れでも川床を楽しめるのが嬉しいですね。
山水御膳(お食事)、抹茶御膳(スイーツ)のみご予約可能なので、ワンちゃん連れの方は予約していくのが良さそうです。
古今藤や
〒601-1112 京都市左京区鞍馬貴船町16
Tel.075-741-1300
営業時間:昼 11:00〜20:00(予約状況で時間変更あり)
ちょっと気軽なお食事からカフェメニューまでカジュアルに川床を楽しめます◎
川床でけでなく、川を眺められるテラス席もあり。
ワンちゃんOK(大きさや頭数に制限は設けていないそうです!)
お役立ちメモ|貴船川床の旅のヒント
- 【予約】川床は事前予約が基本(公式サイト or 電話)
- 【服装】夏でも冷えるので羽織ものを。足元が湿っていて滑りやすいので靴は歩きやすいものがおすすめ。
- 【アクセス】叡山電車+「貴船口駅」から料理屋さんの送迎/予約なしなら徒歩
- 【雨天】基本は屋根付きエリアや屋内で対応。川の増水などで中止になることもあるので確認を。
- 【セットで楽しむ】貴船神社(きふねじんじゃ)の参拝や、川沿いの散策もぜひ。
ひろ文での支払いはクレジットカードは(JCB/VISA)とホームページに記載がありましたが、AMEXも利用できました。また、そうめんは現金のみとのことですが、PayPayも使えるようです。
貴船口駅からの道は大変混み合います。ひろ文では毎回13時からお食事予約をしますが、送迎バスに乗ってからお店まで30分〜1時間ほどかかりますので、食事が終わる頃には16時を回っていたこともありました。時間に余裕を持って、予定を立てるのがおすすめです。
また、あの涼を味わいに行きたくなる夏
京都の夏は暑い――でも、貴船の川床を訪れたら、夏の京都も良いなと思えるのではないでしょうか。
静かな川の音、冷たい空気、そして丁寧に作られたお料理。
忙しい日々からひととき離れ、自然に包まれる癒し。季節に寄り添う時間をもらったような感覚を味わえます。
鱧料理だけでしたら、街中にお手頃で美味しいお店もたくさんあります。しかしここでしか体験できない涼、味わい、時間があり、「また、来年も訪れたい。」そう思える“夏の記憶”が、ここにはあります。
そして、この涼やかさを、どこか暮らしに取り入れたいなと考える時間も、また楽しいものですね。
夏の京都・貴船の涼をぜひ一度、感じてみてください。